夜が白々とする頃寝に就いた

 吾々は、他合もないことを飽きずに語り合つて、夜が白々とする頃寝に就いた。

 三月七日 自分は、午近くに起きた。ふつと眼が醒めた時には、何時もの東京の部屋かと思つた。居るだけで好いのだ、その他には自分には用はないので、母から少しばかり金を貰つて街に出かけて見た。 好い天気である。 東京の家で...

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自働車の運転手を指差した

 改札口を出ると妻は、そこに立つてゐる自働車の運転手を指差した。……大地震で彼等の合宿所が潰れた時、恰度その町に居合せた吾々の家は倒れなかつたので、その大半を×さん達に提供したことがある。此方こそ賑かになつて、あの不安から救はれた。×さんは、それ以来知り合ひの青年運転手である。 彼は、吾々を乗せて...

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人気の少ない廊下

「多少、さうかも知れないな。外ではお前が、叱らないから……」と、自分が云ふと妻は、厭な笑ひを浮べた。自分も。 吾々は、人気の少ない廊下に、二時間も待ち合せる者ではない。そわ/\した心でたゝずんでゐた。 ふと気づいて見ると児は、自ら意識する武張つた大股で、直ぐ前の飲食店へつかつかと入つて行くのであ...

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