自働車の運転手を指差した

 改札口を出ると妻は、そこに立つてゐる自働車の運転手を指差した。……大地震で彼等の合宿所が潰れた時、恰度その町に居合せた吾々の家は倒れなかつたので、その大半を×さん達に提供したことがある。此方こそ賑かになつて、あの不安から救はれた。×さんは、それ以来知り合ひの青年運転手である。 彼は、吾々を乗せて...

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人気の少ない廊下

「多少、さうかも知れないな。外ではお前が、叱らないから……」と、自分が云ふと妻は、厭な笑ひを浮べた。自分も。 吾々は、人気の少ない廊下に、二時間も待ち合せる者ではない。そわ/\した心でたゝずんでゐた。 ふと気づいて見ると児は、自ら意識する武張つた大股で、直ぐ前の飲食店へつかつかと入つて行くのであ...

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もつと遠い旅

「それにしても二時間では半端だな? 何か斯う?」「あそこが丸ビルか知ら?」「一層、もつと遠い旅だと反つて都合が好いんだらうがね……この前の時に出かければ好かつたんだが……」「知らないわ。」 そんなこと云ひ合ひながら愚図/\してゐると、父親の愚図な性質をはやのみ込んでゐるかのやうな五才の児が、...

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