人気の少ない廊下

「多少、さうかも知れないな。外ではお前が、叱らないから……」と、自分が云ふと妻は、厭な笑ひを浮べた。自分も。 吾々は、人気の少ない廊下に、二時間も待ち合せる者ではない。そわ/\した心でたゝずんでゐた。 ふと気づいて見ると児は、自ら意識する武張つた大股で、直ぐ前の飲食店へつかつかと入つて行くのであ...

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もつと遠い旅

「それにしても二時間では半端だな? 何か斯う?」「あそこが丸ビルか知ら?」「一層、もつと遠い旅だと反つて都合が好いんだらうがね……この前の時に出かければ好かつたんだが……」「知らないわ。」 そんなこと云ひ合ひながら愚図/\してゐると、父親の愚図な性質をはやのみ込んでゐるかのやうな五才の児が、...

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ほんの一分違ひで決めて来た汽車

「五月頃になつて此方には帰らうかね。」 ほんの一分違ひで決めて来た汽車に乗り遅れたので、吾々は停車場で二時間ほども待たなければならなかつた。 これで行くと家に着くのは夜中の十二時頃にもなるだらうから、出直さうか、明日に? そして今晩は街の方へ見物に行つて見ようか? と、妻を顧みて相談をかけると彼...

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